第7章 新たな道標
そこには、見覚えのある緋色の髪があった。
斗亜だった。
真剣な表情で道を歩き、角を曲がる。
数歩進んで立ち止まり、辺りを見回す。
首をかしげる。
そして、また来た道を戻っていく。
その姿を三人は黙って見つめる。
数秒後。
「ぶっ!」
弥彦が堪えきれず吹き出した。
「やっぱ迷ってるじゃねぇか!」
薫も口元へ手を当て、必死に笑いを堪えている。
「もう…だから心配だったのよ」
剣心だけは静かに微笑んだ。
「予想通りでござるな」
斗亜は再び橋の前で立ち止まり、真剣な顔で辺りを見回していた。
そこへ剣心が穏やかな声を掛ける。
「斗亜」
斗亜が振り返る。
「あ?」
三人の姿を見つけた瞬間、一瞬だけ表情が止まった。
剣心は優しく笑う。
「やはり迷っておったか」
「迷ってねぇ!」
間髪入れずに返す。
斗亜は腕を組み、咳払いを一つした。
「ほら…あれだ。探索だ!町の様子を見て回ってただけだ」
もっともらしく言い切る。
薫は耐えきれず吹き出した。
「その言い訳は無理があるわ」
弥彦は腹を抱えて笑う。
「橋の周りを何周もしてた奴が何言ってんだよ!」
「違ぇって!」
斗亜はむっとした顔で睨み返す。
「ちゃんと目的はあった」
「へぇ?」
弥彦がにやにやしながら聞き返す。
「何だよ、その目的って」
斗亜は少しだけ考え込む。
「……」
沈黙。
そして諦めたように口を開く。
「た…探索」
「それしか出てこねぇじゃねぇか!」
弥彦の笑い声が町へ響いた。
剣心も小さく肩を揺らす。
「まぁ、その話は帰ってからにするでござる」
そう言うと、自分が持っていた米袋を少し持ち上げた。
「斗亜。これを持ってくれぬか?」
斗亜は米袋を見る。
「荷物持ち?」
薫も自分の包みを見せる。