第7章 新たな道標
数分後。
斗亜は再び足を止めた。
目の前には、小さな橋。
「……」
橋を見つめたまま黙り込む。
見覚えがある。
いや、見覚えどころではない。
「さっきも、この橋渡ったよな」
独り言が漏れる。
気のせいだと思い、そのまま歩き続ける。
別の道へ入り、さらに角を曲がる。
だが、数分後。
目の前に現れたのは、また同じ橋だった。
斗亜の眉がぴくりと動く。
「いや、待て…」
橋。
川。
道端の石。
軒先に吊るされた風鈴。
間違いない。
さっき見た景色そのものだった。
斗亜は腕を組み、真剣な表情で辺りを見回す。
「おかしい…」
今度は慎重に道を選ぶ。
来た道とは反対へ進む。
角を二つ曲がる。
少し早足になる。
「今度こそ」
そう思った矢先だった。
また橋が見えた。
「……」
斗亜はその場で立ち尽くす。
しばらく橋を見つめたあと、ゆっくりと頭を掻いた。
「どっちだ?」
思わず空を見上げる。
答えてくれる者はいない。
仕方なく歩き出す。
少し進み、違うと思って引き返す。
別の道へ入る。
また戻る。
気付けば同じ場所を何度も行き来していた。
斗亜本人だけは真剣そのもの。
だが、その姿は見事なまでに同じ一帯をぐるぐると巡り続けていた。
その頃。
町では買い出しを終えた薫、弥彦、剣心の三人が神谷道場へ戻る途中だった。
薫は野菜の入った包みを抱え、剣心は米や味噌を持っている。
弥彦も魚の包みを提げながら、三人で他愛もない話をして歩いていた。
ふと、弥彦の足が止まる。
「ん?あれ?」
その声に薫も顔を上げた。
「どうしたの?」
弥彦は前方を指差す。
「あそこ!見てみろよ」
薫も視線を向ける。
「えっ?」
剣心も静かに目を向けた。