第6章 因縁の終焉
「いく!!絶対行くからね!!」
操は声を張り上げ、何度も頷いた。
その後ろで、斗亜と左之助は同時にあくびをひとつ。
緊張が解けた証だった。
剣心はふと思い出したように蒼紫の居場所を尋ねる。
葵屋の奥の間で禅を組んでいると聞き、静かにそこへ向かった。
「蒼紫…拙者達はこれでお暇するでござる。機会があれば、そのうち酒でも飲み交わそう」
「俺は下戸だ。酒は飲めん」
即答だった。
「そうか…」
そのやり取りを聞き、操の表情が一瞬曇る。
しばし沈黙。
そして蒼紫が、わずかに視線を動かす。
「…茶の湯ならば、いずれ付き合おう」
その一言で、空気がふっと緩む。
「…!」
操の顔が一気に明るくなる。
周囲も思わず笑みを浮かべた。
「けど…最後まで蒼紫、笑わなかったな~」
斗亜が小声で呟く。
「そうでござるな。けれど…それを成すのは拙者ではなく、操殿の役目でござるよ」
剣心はそう言って、操の頭にポンと手を置く。
「うん!任せといて!!」
操は涙を拭い、力いっぱい答えた。
「操殿には色々と世話になったでござるな。ありがとう」
「みんな元気でね~!!絶対絶対遊びに行くからねー!!」
葵屋の面々に見送られ、剣心たちはゆっくりと歩き出す。
朝の光の中、振り返ることなく、それぞれの新しい日常へと帰っていった。
平和な世は、確かに続いていく。
そして、少しの日を経て一行は東京へと戻ってきた。
見慣れた町並み、行き交う人々のざわめき、湿った風の匂い。
京都での死闘が遠い夢のように感じられるほど、東京は変わらず日常の顔をしていた。
「あっ、帰ってきた!長旅お疲れ様!!道場に赤べこの料理、用意してあるわよ~」
赤べこの店主・妙の明るい声が、門の向こうから弾むように響く。
「おー!久々の東京の味!」
左之助が嬉しそうに声を上げる。