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緋色の誓い

第6章 因縁の終焉


「でもな…これを振ってた頃の俺には、もう戻りたくない」

新堂は布を手に取り、蒼雲を包み直しながら言う。

「当たり前だ…。この時代に人斬りは必要ねぇ。刀ってのはな…」

手を止めず、低く続ける。

「覚悟がブレたまま持つと、必ず刃に出る」

「……」

「お前の蒼雲は、まだ迷ってる」

包み終え、棚の奥に置く。

「だが…戻ろうとはしてねぇ」

斗亜は、静かに息を吐いた。

「また…預かってくれ」

「言われなくてもだ」

新堂は背を向けたまま言う。

「今のお前に、これ以上迷った蒼雲を背負わせる気はねぇ」

「次は…」

斗亜が口を開きかけた、その時。

「待ってろ」

新堂は短く言い、工房の奥へ向かった。

斗亜は何も言わず、立ったまま待つ。

炭が爆ぜる、小さな音。

耳に心地いい。

ザッ、ザッ。

足音。

奥の戸が、低く鳴って開く。

新堂が戻ってくる。

その腕には、鞘に納められた一本の刀。

それを見た瞬間、斗亜の表情が、はっきりと変わった。

「蒼雲・鎮…直ったのか!?」

思わず、一歩踏み出す。

新堂は答えず、刀を差し出す。

斗亜は受け取り、重さを確かめる。

「少し…軽い?」

いや、正確には。

以前の蒼雲・鎮より、わずかに軽い。

鞘を払う。

蒼く光る刀身。

「新しい…蒼雲か?」

「あぁ」

新堂は短く頷く。

「蒼雲・鎮より少し薄くした。俺の腕が上がったんだ。だが人は斬れねぇ」

斗亜は刃から目を離せなかった。

「うわー自己肯定感が強いようで…」

呆れたように、息を吐く。

「鎮は鎮だ。あれは、もう役目を果たした」

新堂は腕を組み、斗亜を見据えた。
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