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緋色の誓い

第6章 因縁の終焉


ただ、少しだけ息を吸って、吐いた。

「幸太、相変わらずよく笑ってた」

「そうでござるか…」

「ただ、くふって…あの笑い方でさ」

斗亜は、かすかに口元を緩める。

だが、それはすぐに消えた。

「目、覚めたら…一気に現実に戻された」

「辛かったでござろう」

「確かに…あの頃は辛かった…でも今は辛ぇってほどじゃねぇ」

斗亜は首を振る。

「俺の胸の奥に、居るから…」

剣心は、そっと斗亜の方へ体を向ける。

「…拙者も、幾度となく同じ夢を見たでござる」

斗亜が、ゆっくりと剣心を見る。

「守れなかった者の顔が、何度も現れる…だが」

剣心は、自分の胸に手を当てた。

「夢の中で会えるということは…忘れておらぬ、ということでもある」

「忘れる気なんてねぇよ」

斗亜は、少しだけ強い声で言う。

「忘れたら…俺が俺じゃなくなる」

剣心は、小さく頷いた。

「それでよいでござる」

しばし、沈黙が落ちる。

朝の風が、障子をわずかに鳴らした。

「なぁ…兄貴」

「なんでござる」

「俺…生きてていいのか…たまに、わかんなくなる」

剣心は、少しだけ間を置いてから答えた。

「迷うのは、生きようとしている証でござる」

斗亜は、鼻で小さく息を吐く。

「相変わらず回りくどいな」

「拙者は、不器用でござるからな」

ほんの一瞬、斗亜の口元が緩んだ。

「桜がさ…」

「……」

「生きろって言った」

その一言で、剣心はすべてを悟った。

「それなら…」

剣心は、静かに言った。

「斗亜は、生きるしかないでござるな。拙者は、斗亜には生きて欲しいでござる」

斗亜は、目を伏せたまま、深く息を吸う。

「あぁ、そうだな…」

朝日が、二人の影を畳に落とす。

その影は、まだ確かに生きていた。
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