第6章 因縁の終焉
「守れたのか、俺は…」
問いかけると、桜は一瞬だけ目を伏せたあと、斗亜を真っ直ぐに見た。
「守ったわよ」
はっきりと。
「あなたは、ちゃんと守った」
幸太が、楽しそうに声を立てて笑う。
その振動が、桜の腕を通して斗亜にも伝わる気がした。
胸が、痛くなる。
「あぁ…生きてる」
絞り出すように言うと、桜は、ふっと微笑んだ。
「それでいいの」
桜は、そっと斗亜の胸に手を当てる。
「生きて、悩んで、苦しんで…それでも前に進む。それが、あなたの選んだ道でしょう」
斗亜は、何も言えなくなる。
「私は…あなたの中にいるから」
幸太が、また声をあげて笑う。
まるで別れがわかっていない、無邪気な笑い。
風が吹く。
景色が、ゆっくりと霞んでいく。
「桜…」
呼び止める声は、届かなかった。
最後に見えたのは、桜が幸太を抱き寄せ、穏やかに微笑む姿。
――生きて…――
その声だけが、確かに残った。
斗亜は、静かに目を覚ました。
朝の光が、障子越しに差し込んでいる。
頬に、温かいものが伝っていた。
「夢…か」
そう呟いて、胸に手を当てる。
そこには、確かに桜と、よく笑う幸太がいた。
生きる意志は、今日も、彼の中で静かに息をしていた。
障子越しの朝の光が、部屋に淡く滲んでいた。
体を起こそうとして、すぐに隣の気配に気づく。
「…斗亜?」
小さく声をかけると、斗亜は一瞬だけ肩を揺らし、こちらを見る。
隣で目を覚ましたのは剣心だった。
「あ…起こしたか?」
「いや…拙者も、今しがたでござる」
剣心はゆっくりと体を起こし、斗亜の横に座った。
その横顔を見て、すぐにわかる。
「夢を見たでござるな」
「あぁ…」
斗亜は短く答え、視線を落とす。
「桜と…幸太の夢だ…」
剣心は、何も言わなかった。