第6章 因縁の終焉
――天翔龍閃。
志々雄はそれを見切り、止めた。
一瞬、闘場に失望の気配が走る。
やはり、志々雄には奥義すら通じないのか。
ガキィィ!!!
志々雄が体勢を立て直し、終の秘剣“火産霊神”を放とうとした、その瞬間。
志々雄の体が、引き寄せられた。
剣心の方へ。
「そうか!!」
斗亜の目が見開かれる。
「捌いた一撃目の衝撃と威力によって弾かれた空気が、時間差を生じて急速に元へ戻ろうとしている!!奥義・天翔龍閃は超神速の抜刀術!!そして飛天御剣流の抜刀術は全て、隙を生じぬ二段構え!!」
空気そのものが、志々雄を剣心へと引き戻す。
剣心の天翔龍閃が、完全に決まった。
「グゴォォォ!!!!」
志々雄の叫びが変わる。
それは怒りではなく、初めて限界を突きつけられた者の悲鳴だった。
その姿を見て、由美は堪えきれず走り出す。
「止めて!!これ以上はもう無理よ!!志々雄様は全身火傷の後遺症で、本当なら十五分以上は闘ってはいけない体なの!!もういいでしょ!!これ以上、志々雄様を苦しめないで!!お願い…」
由美の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。
剣心は、ゆっくりと逆刃刀を降ろした。
「…甘えよ、抜刀斎…闘いはまだ続いているんだぜ」
その言葉と同時に。
ザシュ。
正気を取り戻した志々雄の無限刃が、由美の体を貫き、そのまま剣心の腹部へと突き立てられる。
「兄貴!!!?」
剣心は、地へと倒れ込む。
「志々雄…貴様…」
剣心は腹部を押さえ、血に染まる指で必死に体を支えながら叫ぶ。
「そこまでして…自分を愛する女性を裏切ってまで、勝ちを得たいかァ!!」
剣心の怒号が、灼熱の闘場に重く響いた。