第6章 因縁の終焉
一気に疲労が押し寄せ、剣心はその場にしゃがみ込む。
すると…。
闘場のかがり火が、一斉に激しく燃え上がる。
まるでこの闘いそのものに呼応するかのように。
灼熱の空気が、さらに濃く、重く、闘場を包み込んでいった。
「なんだ…いきなり炎が猛りだした…」
斗亜が息を呑む。
闘場を囲むかがり火が一斉に唸りを上げ、まるで生き物のように揺らめき始めていた。
熱気が壁を這い、天井へと昇り、空気そのものが灼かれていく。
「先程の抜刀斎の時と同様、志々雄の剣気に反応している…」
蒼紫が低く呟く。
「同様?木の葉と炎じゃケタが違うぜ…」
斎藤が眉をひそめる。
ただの反応ではない。
これは剣気が、闘場全体を支配し始めている兆候だった。
「最終局面…いくぜ…」
志々雄の声が闘場に響く。
由美はその声に、縋るように振り返った。
そこに立っていたのは、全身血に塗れながらも、なお悠然と歩み寄ってくる志々雄だった。
包帯は焼け、皮膚は爛れ、それでもなお、その足取りに迷いはない。
「終の秘剣…火産霊神(かぐづち)…」
志々雄は呟くように言い、呼吸を整えている剣心を見下ろす。
剣心は静かに立ち上がり、逆刃刀を鞘に納める。
「天翔龍閃…」
斗亜が喉を鳴らす。
「…久々に愉しい闘いだったぜ。こんなに愉しいのは幕末以来だが、この先には国盗りが控えてるんでな。これ以上、遊んでやる時間はねぇ…」
「愉しくはない…だが、お主の力量には正直感服した…」
剣心は静かに言葉を重ねる。
「だが志々雄…時間を言うのなら、もうお主や拙者のような“人斬り”の時間はとうの昔に終わっているんだ…」
「終わりはしねぇさ。俺がこの無限刃を手にしている限りな」
「終わっているんだ。拙者がこの逆刃刀を手にした、その瞬間に…勝負…」
二人は同時に刀へと手をかける。
ザッ。
剣心が左足を踏み込み、地を裂くように前へ出る。