第6章 因縁の終焉
「志々雄を斃す…」
「死んじまったらどうするんだよ!!」
斗亜は一瞬だけ左之助を見て、かすかに笑った。
「アイツを殺すまでは…死ねねぇよ」
そしてゆっくりと志々雄を見据える。
「志々雄…俺はお前を、今度こそ粛清しないといけないんだ」
志々雄は楽しそうに肩をすくめる。
「フッ…死にぞこないが。いいぜ、緋村斗亜。あの時みたく粛清してみろよ…俺を」
斗亜は刀を鞘に納めたまま、静かに抜刀術の構えを取る。
その姿に、左之助が息を呑む。
「抜刀術…?もしかして飛天御剣流奥義?」
「ほう…天翔龍閃を出してくれるってか?」
「これしか…お前を倒す方法がねぇ…いくぞ!!」
踏み込みは遅い。
だが覚悟だけは、誰よりも鋭い。
「飛天御剣流奥義――天翔龍閃!!!!」
斗亜の体が一筋の光となって志々雄へと突き進む。
ガキィィィィィ!!!!
志々雄は軽々とそれを受け止めた。
焔を纏う無限刃が、天翔龍閃の勢いを真正面から殺す。
「マジかよ…」
呆然とする左之助の前で、志々雄は柄頭で斗亜の脇腹を容赦なく叩きつける。
ガッ!!
「がはっ!!」
斗亜の体は吹き飛ばされ、壁に激突する。
ドンッ。
そのまま、力なく崩れ落ちた。
「斗亜っ!!」
左之助の叫びが虚しく響く。
志々雄は焔を纏った刀を肩に担ぎ、冷たく言い放つ。
「…さっさと後始末しろ」
闘場には、焔の音と、倒れ伏した二人の呼吸だけが残っていた。
「おっと…すっかり忘れていたぜ。確か“負け犬”が一匹、まだ残っていたな…で、負け犬が一匹でこの場に何をしに来た?」
志々雄はゆっくりと視線を巡らせ、蒼紫の姿を捉える。
焔に照らされたその眼は、獲物を見定める獣のそれだった。
「…負け犬…そうだ、志々雄様の言う通りだ!!四乃森蒼紫!!既にお前は緋村抜刀斎に敗北した負け犬!!もはやこの雌雄を決する闘いに出る幕などない!!この場に居合わせること自体が図々しい!!さっさと失せろ!!」
方治は歯をギリッと噛み締め、唾を飛ばす勢いで蒼紫を罵倒する。
その声には焦りと苛立ちが滲んでいた。