第6章 因縁の終焉
「そうすりゃ、俺のつくる新しい歴史の中に…名前くらいは残してやる」
ガッ。
志々雄は、地を蹴った。
焔に包まれた志々雄の刀を、剣心は一瞬の迷いもなく手の甲で受け止めた。
皮膚が焼ける嫌な匂いが立ちのぼるが、剣心は眉一つ動かさない。
「お前の作る歴史にも、今の歴史にも拙者の名など残す気はござらん。拙者が残したく思うのはただ一つ、動乱の果てに訪れたこの平和の世のみ」
踏み込み、剣心は志々雄の胴へと逆刃刀を叩き込む。
鈍い衝撃音が闘場に響く。
「おおおお!!!!」
志々雄は一歩よろめきながらも、すぐに嗤った。
「せっかくの忠告も聞く耳持たずかよ…じゃあ仕方ねぇ。俺がすっぱり散らしてやるぜ」
次の瞬間、志々雄は自らの焔をさらに強め、剣心の体ごと包み込む。
灼熱が視界を奪い、剣心の足元がぐらりと揺れた。
志々雄はその隙を逃さず、剣心の胸倉を掴み、軽々と持ち上げる。
「おっと。まだ倒れるには早ぇぜ。言ったろ、華々しく散った方がいいってよ」
「兄貴ッ!!」
「剣心!!」
斗亜と左之助の叫びが重なる。
だが志々雄は気にも留めず、黒い手袋の甲で無限刃を素早く滑らせた。
ドンッ。
爆ぜる焔と衝撃。
剣心の体は宙を舞い、床に叩きつけられる。
ドサッ。
「兄…貴…」
斗亜の声は震え、言葉にならなかった。
剣心は動かない。
呼吸すら分からない。
左之助は立ち尽くし、拳を握りしめる。
「オイ…なんだよ。本当に死んじまったのかよ。まだ天翔龍閃も出してねぇってのによ…チッ、もの足りねぇ」
志々雄は不機嫌そうに舌打ちし、倒れた剣心を見下ろす。
「左之助…サラシ…まだ残ってるだろ…?」
かすれた斗亜の声に、左之助ははっと振り返る。
「あぁ…斗亜、何する気だ。そんなケガで」
斗亜は左之助からサラシを受け取ると、迷いなく自分の脇腹や肩に巻き付け、歯を食いしばって強く締め上げる。
血がにじみ出るが、構わない。