第6章 因縁の終焉
次の瞬間、腰の鞘に刃を走らせ、再び焔をまとわせてから斬りつける。
「斗亜!!」
左之助の叫びが響く。
「いってぇ…」
斗亜は歯を食いしばり、距離を取る。
「くそ…昔より、強くなってるな…」
「そうだろ、緋村斗亜!」
志々雄は低く嗤う。
「俺の“焔霊”はな、“斬る”と“焼く”を同時に味わわせる…。昔を思い出したか?」
「だがな…」
斗亜は口角を吊り上げる。
「傷そのものの深さは…昔と変わってねぇ」
「ほぅ…」
志々雄の眉がわずかに動く。
その様子を見て、剣心が一歩前に出る。
「…わかったでござる。“焔霊”の正体が」
志々雄は、黙って続きを促す。
「切っ先で生じる摩擦熱は、あくまで“着火”のためのもの…。実際に燃えているのは刃そのものではない」
剣心は志々雄の刀身を見据える。
「その極めて細かい、ノコギリのような刃にこそぎ取られ…そして染み込んだ、志々雄がこれまで殺してきた“人間の脂”…それが燃えているのでござる」
「ご名答だ」
志々雄は、愉しげに口元を歪める。
「さすがは抜刀斎…洞察力だけは衰えていない」
焔を揺らしながら、刀を構え直す。
「だがな、ノコギリのような刀とは失礼だろう」
志々雄は刃を掲げる。
「これでも逆刃刀・真打の兄弟刀だ。殺傷力を保つ限界を見極め、あらかじめ刃を一部欠かすことでな…」
刃の凹凸が、焔の中で不気味に浮かび上がる。
「常に一定の感覚で、連続使用出来る刀を仕立てる…。それが新井赤空作、最終型殺人奇剣“無限刃”」
焔が大きく揺らぐ。
「そしてこの刀と、俺がこれまで斬り殺してきた人間の数を合わせ、“技”として昇華したのが、壱の秘剣“焔霊”だ」
志々雄は一歩踏み出す。
「弱者を糧にし、己の強さを高めていく…。これぞ剣術における、俺の“弱肉強食”」
その言葉に、斗亜の奥歯が軋む。
「…不服そうだな」
志々雄は嗤う。