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緋色の誓い

第5章 因縁の余燼


――ここから先は、道なりに行けば志々雄さんの所に着きます。もう由美さんの道案内はいりません――

その言葉を最後に、三人は宗次郎のいた間を飛び出し、先へと走る。

ふと、嫌な気配が走った。

「ッ…!?」

斗亜は、小さな扉の前で急に足を止めた。

先頭を走っていた斗亜が止まったことで、後ろの左之助、剣心が次々とぶつかる。

「いってぇ!斗亜、急に止まって…どうした?」

「斗亜…?」

二人は、その表情を見て言葉を失う。

斗亜の顔には、これまでにないほどの緊張と、凍りつくような殺気が浮かんでいた。

「ここに…いる…」

斗亜は、ゆっくりと扉に手をかける。

ギィィィ…。

重苦しい軋みを立て、扉が開いた。

埃と血の匂いが、湿った空気と共に流れ出す。

そこにいたのは、黒く擦り切れた着物をまとった男だった。

人の形をしていながら、どこか生気が薄い。

男は、死人が起き上がるように、ゆっくりと身を起こす。

「久しいな…まさか、お前が人斬り抜刀斎の後継者だったとはな…」

「…ッ!?」

斗亜の喉が鳴る。

「お前…なんで…死んだはずじゃ…!?」

声が、僅かに震えた。

目の前の男を認識した瞬間、体が勝手に硬直する。

「斗亜…知り合いか?」

剣心の問いに、斗亜は低く答えた。

噛み殺すような声だった。

「知り合いなんてもんじゃねぇ…妻の親戚…そして、俺の妻と息子を殺した奴だ」

左之助は、斗亜の言葉を聞いて息を呑んだ。

その言葉に、剣心は一歩前へ出る。

逆刃刀に手をかけ、静かに構えた。

空気が、一気に張り詰める。

この先に待つのは、志々雄だけじゃない。

斗亜自身が、向き合えなかった因縁だった。

「待て兄貴!!」

斗亜は声を荒げる。

「これは俺の闘いだ!手出したら許さねぇ!!」

刀に手をかけ、一歩踏み出す。

男の前に立ちはだかるその背中には、迷いがなかった。

あるのは、怒りと、悲しみと。

そして、決意だけ。

「俺も…お前に家族を殺されたんだ…人殺しが…」

男は口の端を歪めた。

低く吐き捨てると同時に、刀を抜く。
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