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緋色の誓い

第5章 因縁の余燼


五年後。

寺に火を放った者たちに、安慈は復讐を果たす。

何もかもを粉砕し、その命を奪った。

その血の上に立って、ようやく気づいた。

自分一人を救うために、何人を破壊したのか。

それでも、もう引き返せなかった。

「わかるか…」

安慈は、震える手で位牌を胸に押し当てた。

「祈りや願い等では、何一つ救われはせぬ…」

目の奥が、怒りと悲しみで真っ赤に燃えていた。

「すべては“救世”この救い難き世界を救うため!!“明王”の安慈は、負ける訳にいかぬのだ!!」

叫びと共に、安慈の足元の石畳がひび割れた。

「安慈!!」

剣心が制止の声を上げる。

しかし、その前に、左之助が一歩、いや、半歩だけ前に出て、右手で剣心の前を制した。

「下がってな…」

その背中は、さっきよりもわずかに丸く見えたが、声は真っ直ぐだった。

「こいつは理屈じゃ止まらねェよ。もう拳でなきゃ止まれねぇんだよ…」

左之助は、ぼろぼろに裂けたサラシの下から、傷だらけの腹を見せながら、安慈に向き直る。

「来い安慈!!俺の拳で応えてやるぜ!!」

安慈の目がギラリと光る。

「おおおおお!!!!」

気合いの一喝と共に、安慈は上着を破り捨てた。

隆起した筋肉が露わになる。皮膚の下を、怒りと憎しみの血が走っているかのようだ。

左之助も、上着を肩からずり落とし、無造作に放り捨てる。

互いに、余計なものを全てそぎ落とし、“拳”だけの勝負に身を投げた。

「うおおおおっっ!!」

ドガッ。

ガンッ。

バキッ。

二重の極みと二重の極みが、真正面からぶつかり合う。

拳が肉を打つたびに、鈍い衝撃音が石室に響き、床が震える。

「すげぇ…お互い二重の極みを打ち合ってるのに倒れねぇ…」

斗亜は、喉が渇くのも忘れて見入っていた。

「いや…既にどちらが倒れていてもおかしくない…」

剣心が低く呟く。

「ただ、お互い負けられぬという想いだけで拳を突き出しているのでござる…共に、精神が肉体を凌駕している」

「そっか…二重の極みが決め手にならない以上、勝負はほぼ互角か…」

斗亜は大きく頷いた。

「本当にそう思うか?」

その間に、斎藤の声が割って入る。
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