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緋色の誓い

第5章 因縁の余燼


「決着がついての後、相手に止めを刺そうとするのは誰であろうと見過ごすわけにはいかぬ。拙者、決闘は承知だが“殺し合い”は御免蒙る」

「ふふ…甘い男」

由美は扉に手をかけ、重々しい音を響かせながら開いた。

ギィィィィィィ…。

冷気がふわりと流れ込み、四人は自然と背筋を伸ばす。

扉の奥に広がる巨大な部屋。

中心には、闇の中で淡く光を帯びる 不動明王像 が鎮座していた。

その静けさは、まるでこの先で待つ“死闘”そのものだった。

「…いよいよだな」

斗亜の喉が小さく鳴った。

緊張、不安、そして宿敵を討つための燃えるような覚悟。

この闘いの果てに、自分は何を見るのか。

生きて帰れるのか。

それとも…。

だが、横を見ると剣心がいる。

左之助が、斎藤がいる。

薫や弥彦、操、翁さん…それぞれ帰る場所がある。

それだけで、斗亜は胸の奥に小さな火が灯ったような気がした。

「行くぞ」

短く言った斎藤の声が、迷宮の静寂を切り裂いた。

四人の影が、不動明王の前にゆっくりと並ぶ。

ついに十本刀との決戦が始まる。

「なんだよ…十本刀にも坊さんがいるのかよ?」

斗亜は、不動明王像の前で腕を組む巨大な男を見て眉をひそめた。

黒く塗られた目元、分厚い腕、そして人間離れした圧力。

「あぁ…破壊僧が一人な」

左之助が目の前の男を見て言った。

「俺ぁアイツに聞きてぇことがある。一番手は俺がもらうぜ」

左之助は袖を軽くまくり、迷いなく階段を降りていく。

「左之助の知り合い?あの坊さんは?」

斗亜が横に立つ由美へ視線を向ける。

「十本刀“明王”の安慈。…よく出来てよ」

由美の口調はあくまでも落ち着いていた。

だが彼女の瞳の奥には、確かに“狂信”に似た光があった。

「安慈…これが操を助けた十本刀の手練れか…」

斗亜はそっと拳を握る。

左之助が安慈の前に立つと、空気の重さは一段階増した。

「よぉ。一ヶ月振りか…あんたとはもう一度会いてぇと思っていたが、まさか、それがこんな形になるたぁな」

「…私も思いもよらなんだ」

安慈は深いため息をつき、静かに言葉を続ける。
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