第4章 因縁の残火
「だいじょーぶ!!」
「「「「「!!!??」」」」」
剣心の背後で操が唐突に叫び、場が一気にビクリと揺れる。
「なんでこんなに心の臓に悪い連中ばかり居るんだ…」
斗亜は胸に手を当てて息を吐いた。
気づけば、翁やお増、御庭番衆までもが部屋に集まり、明日の決戦へ向けてざわざわと空気が高まり始めていた。
その賑わいから少し離れた柱の陰で、斗亜はそっと両手を握り締める。
灯りの揺れに照らされながら、その目だけは鋭く光っていた。
「志々雄…俺はこの手で…倒す…」
静かに、確かに、胸の奥で誓う。
「(今度こそ、終わりにするぞ…志々雄…)」
その夜、葵屋には決戦前のざわめきと、それでも消えずに残る温かい家族のような灯りが揺れ続けた。
朝日が山肌を照らした瞬間だった。
まるでその光を合図にしたように、斎藤が無言で葵屋の前に立っていた。
「…準備は済んでいるな。いくぞ」
斎藤の短く冷たい声に、剣心は静かに頷き、斗亜と左之助もその背に続く。
見送りに出た薫は、朝日に溶けるような柔らかい笑みを浮かべた。
「剣心…みんなで一緒に東京に帰ろうね」
「あぁ」
剣心は一瞬だけ少年のような笑顔を見せる。
緊張と覚悟の中で、薫の言葉が彼の胸の奥を優しく支えているようだった。
薫は斗亜にも向き直り、微笑む。
「斗亜さん…迷惑じゃなければ斗亜さんも一緒に東京に帰りましょう」
「っ…!?」
その言葉に斗亜は一瞬、瞳を揺らした。
薫の顔がかつて寄り添ってくれていた“妻”の面影と重なったのだ。
「ありがとう…」
声は震えなかったが、目の奥に一瞬だけ薄い涙が光った。
斗亜はほんの少しだけ俯き、静かに頷いた。
因縁の残火――完