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緋色の誓い

第4章 因縁の残火


「安息の地は…ここにあるのでござる」

翁の目が大きく揺れた。

まるで長い霧の中で、ようやく見えた灯火に手を伸ばそうとするような表情だった。

「蒼紫は俺たちが必ずここへ連れてくる。安心しな、翁さん…絶対に死なせたりはしねーから」

斗亜もまた、寂しげに笑って言う。

その言葉は不思議と優しく、しかし強い確信を持って響いた。

「操ちゃん?」

お増の声に、皆が操へと目を向ける。

操はポロポロと両目から涙を零していた。

「え…?あれ…?」

本人が一番驚いていた。

怒りの涙でも、悔しさの涙でもない。

もっと深く、温かいものが胸から溢れ出るような涙。

剣心と斗亜の言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた心の糸がふっと緩んだのだ。

薫はそっと操を抱き寄せる。

「よかったね…操ちゃん」

「うん…」

操は泣き笑いのような顔で、ゆっくり、ゆっくりと頷いた。

胸の奥で絡まっていた不安と悲しみがほどけ、その代わりに温かい光が満ちていくのを感じていた。

「(蒼紫様は…まだ戻れる…戻ってきてくれる…)」

操の心に、ようやく希望が戻ってきた。

翁は剣心と斗亜を見つめた。

その瞳には、深い後悔と、それでも信じたいという願いがあった。

「緋村君…斗亜君…蒼紫のことを…頼む」

その声は震えていたが、先程までの“死”を願う絶望ではなかった。

生かしてほしいという願い。

救ってほしいという希望。

二人は優しく微笑んで頷いた。

「承知したでござる」

「任せろ」

その一言だけで、部屋の空気が変わった。

暗い闇が薄れ、代わりに微かな光が差し込みはじめた。

そのとき、先ほど来たという警官が息を切らし左之助へ伝言を告げる。

「相楽さん!斎藤さんからです!」

「なんだよ、あの陰険ヅラ」

巻物のような紙を受け取り読み上げた。

――捕縛した志々雄の雑兵四千人の仮牢の手配、残存兵の追跡により、事後処理からもう半日は手が離せない――

左之助は鼻を鳴らす。
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