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緋色の誓い

第4章 因縁の残火


「コソコソしなくてもいいのに」

バッ!!

斗亜は遠慮なく戸を引き開けた。

ガタンッ!

寄りかかっていた薫が勢い余って前に出た瞬間剣心に抱きとめられた。

「きゃっ…!」

「心配かけたでござるな、薫殿」

剣心が静かに微笑むと、薫の頬が一気に赤く染まる。

「…う、うん」

その穏やかな空気に、弥彦が鼻で笑う。

「ちゃんと嬢ちゃんを引っぱってきたな。よくやった、俺」

「男の約束だ。守らねーわけねぇだろ」

左之助は胸を叩きながら威張り散らす。

弥彦も得意げに頷いた。

「奥義の伝授は?」

薫が尋ねると、剣心は静かに息を吐いた。

「概(おおむ)ねは済んだでござる…あとは、拙者の心次第」

「あれ?操は?」

斗亜がふと気づき、薫を見る。

薫の表情が、ふっと曇った。

「それが…大変なのよ…」

「え?」

三人は顔を見合わせ、即座に動いた。

薫に案内され、操の部屋へ向かう。

廊下には、緊張の匂いがかすかに漂う。

葵屋の人々も、皆どこか落ち着かない。

「操ちゃん…京都大火の夜から、ずっと様子がおかしいの」

薫は歩きながら言った。

「戦いの最中、何かを見たみたいで…私達が声をかけても返事が曖昧で…。翁さんでさえも近づくなって言われたのよ」

剣心の顔がきゅっと固くなる。

斗亜も唇を噛んだ。

「操が…?」

左之助も珍しく真剣な表情で後ろにつく。

薫は操の部屋の前で立ち止まり、そっと戸に触れた。

「覚悟して。今の操ちゃんは、ちょっと普通じゃない」

そっと戸が開かれる。

中から流れてくる空気は、確かに“ただ事ではない”という気配だった。

「操!!?」

「操殿!!?」

ガラッ!!

剣心が勢いよく戸を開けた瞬間、部屋の中には…。

「ぐや゛じい゛!!あたしとしたことがぁぁぁ!!敵に背後を取られるなんてぇぇぇ!!うわあああん!!」

枕を抱え、畳に転がりながら号泣する操の姿。

あまりに豪快な泣き方に、剣心も斗亜も、完全に固まった。
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