第4章 因縁の残火
ドガァァァァァァ!!!
斗亜の一撃が、張の体軸を真横からへし折った。
胴が浮き、息が詰まり、血が喉に上がる。
「がっ…!」
張は血を吐いて地に伏した。
目の前で倒れている張を見て、何かに気が付く。
息をしている…。
「え…?この刀…」
斗亜は息を荒くしながら刀身を見て、思わず目を見開いた。
「兄貴!これ!」
斗亜は笑って、剣心へ放った。
「ムッ!」
剣心が受け取り、刃を確かめる。
翁も同時に目を細めた。
「その刀…」
驚きが混じる沈黙が落ちる。
「まさか新井赤空の最後の一振りが逆刃刀とはな」
翁が低く呟いた。
剣心は柄を握り直し、刃の感触を確かめるように指を添えた。
「いや…これは…以前の逆刃刀よりも、わずかに手に馴染む…そんな感触でござる…」
張は地に伏したまま、笑うように息を吐いた。
悔しさを噛み潰す声。
それでも口は止まらない。
「なるほどな…国盗りなんちゅう大それた目的を持ちながら、志々雄様がなんであんたを気に掛けとるか、今のでよう分かったで。せやけど、ええ気になったらアカン。特攻部隊十本刀の剣客は、まだ九人おる。そのうち二人…宗次郎と、琉球から来る宇水さんは、あんたよりも上や。あんたは絶対、志々雄様には辿り着けん。自分の非力さを噛み締めて、大人しゅう国盗りを見とけや!!」
「うるせぇ!」
スコ――ン!!!
斗亜が苛立ちを隠しきれず、鞘で張の頭を思いきり叩いた。
張の頭が小さく跳ねる。
「こいつ、どうする?」
操が腰に手を当て、顔をしかめる。
怒りと、怖さと、疲れが混ざった顔だった。
「そうじゃな…色々と吐かせたいし、ひとまず葵屋に運ぶかの」
翁が言いかける。
だが斗亜が首を振った。
「いや…こいつは警察に引き渡す。京都に着いているかは分からないが、志々雄一派の件で全権を任されている男がいる」
「その方が安全でござるな…」
「緋村君たちが、そう判断するなら…」
翁は渋い表情を浮かべつつ、頷いた。