第28章 選んだ未来
「おや、ゼイラン。それにルドガーも。元気そうだな。加護を授けたのかい?」
「はい。無事に」
「それはよかった。……おめでとう、」
あなたは彼女に祝われて喜び、表情を一気に明るくさせる。
だがその慈しみに満ちたネメニアの瞳が、場に不似合いな鎧の男に向かうと、空気は緊迫した。
ふてぶてしいヴィレイニは立ち上がり、恐れることもなく相対する。
「よお、魔女。来てやったぜ。弟子たちを解放しろ」
「……はははっ。相変わらず偉そうな男だ。きちんとその弟子たちに謝ったのか?」
彼女はセロとナザルを見やった。
そこにはもう、敵対する眼差しはない。
なぜなら二人の瞳にも、それがなかったからだ。
二人は自分の状況を受け入れ、師の在り方も受け入れている様子だった。
「……悪かった。セロ、ナザル。俺はふがいねえ師匠だよ。お前らが知ってる通りクズだしな。……でも俺にとってもお前らは他人じゃねえ。だからまた来てやったんだろ。……もう見捨てたりしねえよ」
ぶっきらぼうに告げられた言葉は、セロたちの心に、報われたように響く。
ゼイランがそれから、自分の責任についても謝罪をした。
皆も続けて、どうか今回のことを収めてもらえるように嘆願する。
するとネメニアは、こう言った。
「ゼイラン。確かに君がやったことが起因だが、それはルドガーのためだった。そしてナザルは自分で生き方を選択した。この男はそれを受け入れ、人間界へ連れて行った。⋯⋯そしてセロと出会い、三人はこれまで生きてきた」
ネメニアはあなたとルドガーのことを見つめる。
「私を含め、ここにいる者たちは皆、自分の選択をしただけだ。……ヴィレイニ。そして今、師匠のお前が、自分の選択でここに立っていることを私は望むよ」
ヴィレイニの心には、魔女への反発心はまだ消えない。
だが自分の弟子がしっかりとこの場所に足を落ちつけているのを、ただ受け入れていた。