第28章 選んだ未来
守護者は簡単に呼べる人物ではないが、このチャンスを逃せば、男の気が変わってしまうかもしれない。
そうしたらまたセロ達が困ることになる。
「ルドガー……」
「ん?」
こっそりと彼の腕を引っ張り、背を屈めてくれた耳元に、作戦を打ち明けた。
するとルドガーは真面目に受け取り、頷いてくれた。
「ああ、それがいいと思う。うまくいくかは未知数だが」
「そうだよね。でも、一応やってみようかな」
あなたはその場で、自身の両手を組み合わせ、目を閉じた。
感情の一部がうっすらと繋がっているとされる守護者に対し、本気で祈る。
「守護者さま、守護者さま。聞こえますか……お願いです。今、結構ピンチです。でも大チャンスでもあります。……無理を承知で、今すぐあなたに会いたいんです」
そう唱え始めると、皆あなたに注目した。
ゼイランは半信半疑で身構えている。
そんなふうに、偉大な公爵家のトップの者を、呼び出せるものなのかと。
だがあなたの気持ちは本物だった。
「来てください、守護者さま……! あなたが必要です!」
すると、背後からおびただしい寒気が襲ってきた。
ピンク色に染まっていた会場が、一瞬のうちに色褪せたように、黒く染まっていく。
それからすぐに、何事もなかったかのように、会場は鮮やかな色を取り戻した。
「……ふあ、あ……。どうしたのだ、」
「えっ……守護者さま!?」
本当に来てくれたのかと、あなたは仰天して振り向く。
すると背後には、黒いネグリジェを着た大胆な姿の美女が、あくびをしていた。
「来てくれたんですか!」
「ふふ……そりゃそうさ。私はお前の守護者だぞ?」
妖艶な目つきで、あなたの頬に指で触れる。
彼女はまだ眠そうだった。吸血族の始祖の血を引く彼女は、睡眠の長さが普通とは違うらしい。