第28章 選んだ未来
「おいチビ、大きくなったじゃねえか。俺のおかげだな? そんなに立派になってよ」
「……黙れ。お前のおかげじゃない。……いや、ほんのわずかはあるか。お前に虐げられたおかげで、反骨精神が芽生えたからな⋯⋯」
急に立ち上がり剣を握るルドガーに、あなたは戦慄した。
「ルドガー、ダメだよやっちゃ!」
「、安心しろ。殺りはしない。こいつはセロたちの連れだ」
しかし彼の表情は硬く、声もざらりと低い。怒りを保っているのが分かる。
「二人はお前のために魔界にいたんだ。お前を待っていたんだろう。なんとか言ったらどうだ」
主人を持つ獣として、ルドガーの心はまっすぐに向けられている。
だがヴィレイニは不貞腐れた顔で何も答えない。
見かねたあなたは口を開いた。
「あの、お師匠さん。ここが分かったってことは、セロさんとナザルさんの動向も調べてたんでしょう? ほんとは迎えにきたんですよね? 二人が大事だからこんな危険犯してやって来たんですよね」
そう訴えかけると、中年男が太い腕を組み、仏頂面で認めた。
「そうさ姉ちゃん。こいつらがなぜか騎士団経由で、ルラ・パルセ魔術師団に入ったのを知った。それからずっと追ってたんだわ。銀髪野郎の隙を突く方法をな。どうだ、一石二鳥だろ」
へへ、と笑う師が、セロとナザルを見た。
「……別に俺だってお前らを本気で見捨てようなんて思ってねえ。ただ少し時間がかかっちまっただけだ。あのババア共のやばさ、お前らだって分かっただろ」
急に真面目なトーンで告げる。
セロは、そんな師を潤んだ瞳で見つめた。
「師匠……本当か? あんたやっぱそこまで人間腐ってねえよな、俺らを助けに来てくれたんだよな!」
「おう、あたりめーだろ。お前は俺の大切な弟子で、ナザルも俺の大事な使役獣だ」
金髪の美中年がキザな笑みを浮かべ、良い話でまとまるかと思われた。
するとセロが喜びとともに頷く。
「嬉しいぜ師匠……! じゃあ頼む。自首してくれ」
そう言った瞬間、ヴィレイニの目が点になった。
ナザルもセロに同意する感じで、平然としている。