第28章 選んだ未来
静かになったパーティー会場で、ゼイランは中央の席につき、退屈そうに脚を組んでいる。
正面で酒を飲みながら話す鎧の男ヴィレイニを、呆れた顔で見やった。
「おかしいな。今のは俺を責める話のはずだったのに、お前がいかに悪い人間かを教えてくれただけなんだが」
ヴィレイニは銀髪の美形を睨み返した。
「てめえがすべての元凶だ。俺の人生めちゃくちゃにしやがって。早く金返せ」
「フッ。お前は自分の損害よりも、慕ってくれる者の信頼を取り戻すほうが先なんじゃないか?」
「なんだとてめえ……ッ」
相手にしない公爵に対し、屈強な魔術師は血管が切れそうになった。
だが弟子のセロは、ショックを隠し切れていない。
「し、師匠。マジであんた施設で働いてたのか? それにナザル、お前もルドガーがいた場所にいたのか?」
彼らに問うと、二人はしれっと頷いた。
セロの肩がわなわなと震える。
「なんでそういう大事なこと早く言わねえんだよ! どうして俺に隠してた!」
師は煩わしそうに「うっせえな。わざわざ弟子に格好悪い過去を教える師がいるか?」と開き直る。
ナザルも同調した。
「そうそう。かっこわりーだろ。おっさんに幻獣にして連れてってくれなんて言ったって、お前に知られたら。普通に恥ずいわ」
そっぽを向きながら告げられて、セロは理解に苦しむ。
「意味が分からねえ……今更そんな外面気にするような仲かよ! この状況のほうがよっぽど恥ずかしいわ! ……おい師匠、あんたはルドガーに謝罪しろ! 俺はあの二人の過去聞いて号泣してたんだぞ、その一因が自分の師匠の暴虐だったなんて顔向けが出来ねえよ!」
「……顔向けだぁ? お前何こいつらに取り込まれてんだよ。俺ら人間とは違うんだぞ?」
ヴィレイニは失笑し、厳しい顔つきで座るルドガーを目に入れる。
隣のあなたは、はらはらしていた。この話、どうやって着地するのかと。