第28章 選んだ未来
「でも、なんでお前には効かなかったんだ?」
「ゼイラン様の加護のせいだろう。には様々な強制術や拘束が無効になっている」
「そうなの!?」
ルドガーはあなたの手をぎゅっと握り頷いた。
「でも、私に効かないなら……ゼイラン様にはもっと効かないはずだよね、普通」
「その通りだ、」
背後から冷たい美声が轟いた。
あなた達はばっと振り向く。するとそこにはゼイランがポケットに手を入れ、涼しい顔で立っていた。
時間が止まっていたはずの元の彼の服だけが、抜け殻みたいに地面に落ちる。
「す、すごい! どうやったんですか、ゼイラン様」
「秘密」
鼻歌交じりにこちらに向かってくるゼイランは、セロの前に立った。
そしてあの瞳孔を縦に細めた銀の瞳で見下ろすと、そのままソファにいた師にも目をやった。
「お前の名は」
「ヴィレイニだ。お前の真名も教えろよ金持ちの若造」
にやついている魔剣士が挑戦的に言うと、ゼイランは笑う。
男の度胸にだけは感心した様子だった。
そのまま残りの者達の術を解いてやった。
使用人たちを去らせ、ジュリスとナザルも自由に動けるようになる。
「これは……何が起きたんだ⋯」
「……あー。なんか、よくねえ雰囲気だな…ハハ」
二人は術がかかった直後で、少しぼうっとしている。
師であるというヴィレイニは、感情をくすぶらせながらナザルを見やった。
「おいナザル。この公爵、俺のことを覚えてないんだってよ」
「……まあそうだろうな。おっさん、あんたあの時、全身ローブ着てただろ」
「それでも俺のオーラは消えねえだろうが、なぁチビ?」
ヴィレイニはなぜか、ルドガーに向かって不敵な笑みを向けた。
「……なんだと⋯⋯?」
ルドガーは顔をしかめ、眉をひそめる。
どこか聞き覚えのある声と不快な眼差しに、彼は胸の奥で小さな引っかかりを覚えた。
あなたにもその不穏が伝わり、胸騒ぎが広がっていく。
「じゃあ教えてやるよ。俺がいかにてめえから迷惑をこうむったかをな!」
魔剣士は鎧の脚を組みなおし、大きな態度で言い放った。