第28章 選んだ未来
「俺がノーマークだからよかったものの。どうすんだよこの状況!」
「だから褒めてんだろうが。……おいすげえな、こいつ悪魔族だろ? やっぱ俺がお前に授けた禁術の古代魔法すげえわ!」
ハイテンションな中年の鎧男が、止まっても美しい銀髪のゼイランに爆笑している。
「あの……これ、いったいどういうことですか」
しかし、呆然と場に立ち尽くしていたピンクのドレスを着たあなたに、男二人は勢いよく振り向いた。
「……あ? お前なんで……!?」
「セロさん……? あなたがやったんですか、これ……!」
驚愕したまま、すぐにルドガーのもとに駆け寄る。
信じられない。
大柄な黒髪黒角の、いつもの格好いいルドガーだ。
でも、時を強制的に止められたかのように石みたいになっている。
「やだーーーー!! 死なないで、ルドガーっ!! ……許せない、絶対に許せない!! 信じてたのに、裏切ったんだセロさんっ!!」
あなたが憎悪にまみれた表情で彼に向かっていくと、彼は慌てて両手を振って否定した。
「違う違う!! 落ち着け! 裏切ってねえ、これは一時停止だから! 生きてるしすぐ戻せるから、なっ!」
「じゃあ早く戻してくださいよっ!! ルドガーにこんなことしたら許さないんだから!!」
あなたが勢いよく詰め寄ると、押されたセロは「わかったわかった!」と言って彼だけ禁術を解いてくれた。
すると本当にルドガーの体が柔らかくなり、体温も戻り、黒いスーツがゆっくりと動き出した。
「ルドガーっ!」
「……ん? ……なんだ、これは。! どうした、皆……」
「よかったー!」
あなたは涙ながらに彼の無事を喜ぶ。
ルドガーの腕を握り、敵の二人を強く睨みつけた。
その場の異常事態と、あなたの様子を目の当たりにしたルドガーは、同じ方向を見やる。
「……お前らがやったのか?」
「そうそう、俺の師匠がやったんだ。わりい」
「俺のせいにすんじゃねえお前だろうが! つうかナザルも戻してやれよ、止めるの貴族だけでいいから」
セロの師匠は近くのソファに座ってふんぞり返っている。
セロはルドガーの怒りを恐れ、手短に理由を説明した。
この男は実は自分の師であり、ゼイランに個人的な恨みがあって侵入したが、事態の悪化を恐れたセロがとりあえず時を止めたのだと。