第27章 護るということ
「ゼイラン様。これを見てくれ」
「なんだ、ルドガー。今お前は、あまり喋るな」
ぴしゃりと言われたが、懐から黒い布に包まれた短剣を見せた。
ゼイランは顔を引きつらせる。
ネメニア自身の紋章もだが、ヴェルガロン家の家紋が柄にはっきりと刻まれていたからだ。
「なっ……なぜお前がそれを持っているんだ」
「私が贈ったのだよ」
「……えっ!」
ネメニアもルドガーも、それ以上は語らなかった。
二人の納得した顔つきにゼイランも何も言えなかった。
あなたはそろそろ皆に打ち解けてほしいと、パンと手を叩く。
「じゃあこうなったらもう、親戚みたいなものですよね~ねえルドガー、守護者さま!」
「ああ、そうだな。俺の家とお前の家、みたいなものだ」
「……くくっ、まったくお前達というやつは。…まあそうだな、否定はしない」
二人のなれなれしさを終始不問にしているネメニアに、ゼイランは真顔を崩せない。
「お……畏れ多いことです、ヴェルガロン様」
「ふふふ、すまんな。この二人の朗らかさには、私も勝てそうにないのだよ。……ではそろそろ帰ろう。後日、私の城に来てくれるか。皆でまた話したい」
ネメニアは手を差しだした。
ドレスから伸びる白い肌に、黒く塗られた美しい爪。
ゼイランは緊張を抑えながら、握手を交わした。
「光栄です、ヴェルガロン様。喜んでお伺いいたします」
彼の覚悟した声音は、真剣そのものだった。