第27章 護るということ
真っ暗な視界にさえぎられた後、あなたは目を開けた。
体が、騎士団の上空に高く浮いている。
「ひっ、なにこれ、飛んでる!?」
足がすくむあなたを、ルドガーががっちりと抱き留める。
「……ほう。これは壮観だな、見てみろ。必要ないと言ったのだがな⋯⋯」
ため息まじりにネメニアが言い、彼女はゆっくりと自分達を地面に下ろす。
気づけば、すっかり夜になった広場に、自分達を取り囲むように騎士達がひざまずいていた。
その中には、騎士団長と幹部達、そしてミザロもいて、あなたは引きつる。
「――ヴェルガロン様。ようこそ、ゼイラン公爵領騎士団へお越しくださいました」
こちらへ歩いてきて、軍人のように彼女の前で片膝をついたのは、ゼイランである。
彼は身なりを一段と整え、視線を完全に下に落としていた。
「ゼイラン殿。突然の訪問を詫びよう。……さあ、楽にしてくれ。私は隠居した身なのでな、その名を使って威張るつもりはない」
笑みを乗せたネメニアにより、ゼイランは立ち上がり礼をし、騎士達もその場に整列した。
あなただけは異常なまでの緊迫感に目を泳がせる。
そんな様子をゼイランは見つめた。
「大丈夫か、。ルドガー、お前も」
「……あっはい! 元気ですよ! 二人して、お世話になっちゃって」
普通に話しかけられたことが嬉しく、ルドガーと手を握り合って返事をする。
主人のゼイランも、ほっとした表情を浮かべた。
「ヴェルガロン様。このたびのご無礼の数々を、どうぞお許しください」
銀髪の美しい男は、胸に手を当てて深々と頭を下げる。
するとネメニアはふっと口元を上げた。
「構わん。私の側近が迷惑をかけてしまったな。それに君もきっと動揺させたはずだ。書簡で告げたように、二人のことは見守っている。君達に敵対する意思もないから、安心してくれ」
「はっ」
ルドガーはまるで一軍人のような主人の姿に、困惑していた。
頭ではヴェルガロン家がどのくらい格上なのかも、分かっている。
ただ、獣としての本能が、主人に一言いいたくなっていた。