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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第40章 【第三十五話】インクの檻



全員が血を流しながら、こちらへ手を伸ばしてくる。


「ラビ……」
「ラビィ……」

「助けて……」

声が重なる。

けれど、その中心に立つブックマンの声だけは、妙にはっきりしていた。


「インクは書き手に語りかけはせん」

ラビの喉が詰まる。

「お前はインクを引く度に、いちいち心を痛めるのか?」
「……ちっ、幻でもうるせぇな」

「うるさいと感じるのは、お前がこの者達を“インク”と思っとらんからじゃ」

ラビの顔から、笑みが消える。


「……やめろよ」
「我ら一族の役目とは何だ、ラビ」

その瞬間。

ティファがゆっくりと顔を上げた。

血に濡れたまま、縋るようにラビを見る。


「……ラビ」

掠れた声。


「私は……まだ……」

息が喉で詰まった。


「ティファ……」

彼女が震える手を伸ばしてくる。


「私は……まだ、あなたの世界の中に……いる……?」


ヒュッ――。

空気を裂く音。

ラビは反射的に飛び退いた。


刃が額を掠め、バンダナが切れて落ちる。

目を見開く。

ティファの手には、ナイフが握られていた。


ふらつきながら立ち上がり、こちらを見る。

その瞳は、涙で滲んでいる。


「……どうして」

震える声。


「私を置いていくの……?」
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