• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第40章 【第三十五話】インクの檻



胸の奥が、わずかに軋む。

分かってる。
そんなこと、とっくに。


「お前の場所も、心も、この世界の何処にもない。ただ傍観して記録するだけ。それがブックマンだ」

「……んなもん、分かってら」

吐き捨てる。

だが、“もう一人のラビ”は止まらない。



「本当に?」

その瞬間、視界が歪んだ。

水の上に、棺が浮かんでいる。


「――っ」

その中に横たわる銀髪を見た瞬間、ラビの呼吸が止まった。


「……ティファ?」

違う。

分かってる。

幻だ。

なのに、身体が勝手に動いた。


小舟から飛び降り、水を掻き分けて棺へ向かう。

冷たい水が胸まで浸かる感覚が、妙に生々しい。


「ティファ!」

棺に手をかけ、抱き起こす。

冷たい。
反応がない。

銀色の髪が濡れて頬に張りつき、閉じた瞼はぴくりとも動かない。


「どうした、ラビ」

背後から、“もう一人の自分”の声が響く。


「そんなの、ただの歴史の一部だろ?」

はっとする。

気づけば、周囲には、無数の棺。


その中から、ゆっくりと這い出してくる人影。

神田。
コムイ。
クロウリー。
リナリー。

科学班。
ファインダー。

そして――ティファ。
/ 996ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp