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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第40章 【第三十五話】インクの檻



けれど、その声は届き切らない。

ロードは、ラビの表情の変化を、心底楽しそうに眺めていた。


「ねぇ、どんな気持ち?」

甘い声。


「目の前にいたのに、守れなかったの」

ラビの拳が、震える。



怒りなのか、恐怖なのか。

自分でも分からない。

ただ、胸の奥が、焼けるように軋んでいた。


「……黙れ」

低く、絞り出す。

「黙れよ……ッ」

その瞬間。

空気がひっくり返る。


床の感触が消える。
重力が、意味を失う。

ラビの視界が一瞬で塗り潰された。

ロードの楽しげな声だけが、闇の中へ響いた。


「じゃあ――確かめてみよぉ?」

次に足が触れた場所は、もう“さっきまでの空間”じゃなかった。

どこか分からない。

音も、気配も、現実の繋がりも、すべてが切り離されている。


「ようこそぉ」

楽しそうな声が、すぐ後ろで響く。

振り返る。

ロードが、そこにいる。

けれど——さっきまでとは何かが違う。


「ここ、ボクの夢の中」

くすくすと笑う。

逃げ場はない。
外とも繋がっていない。

完全に閉じられた世界。

ラビは小さく息を吐くと、鉄槌を握り直した。


「……趣味悪ぃな」

軽く言う。

それでも、その目は笑っていない。



ここで負ければ、終わる。

ティファも、リナリーも、チャオジーも。

全部。


だから——

一歩、踏み出す。
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