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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第40章 【第三十五話】インクの檻



ラビは目を閉じる。

浮かぶのは、ティファの笑顔。


“ええ”。

あの返事。

約束。



――絶対戻ってこいよ。

ゆっくり目を開く。

その瞳には、もう迷いはなかった。


「あいつは」

低い声。


「こんなとこで終わる女じゃねぇ」

鉄槌を握り締める。

指先が白くなるほど力が入る。



かつての自分なら。

これは“記録”だった。

感情を切り離し、ただ観察するだけだった。


けれど今は違う。

胸の奥で燃えているのは、剥き出しの感情だった。


どんな場所だろうと。
どれだけ壊れていようと。

必ず、取り戻す。


ロードがくすくす笑う。


「ねぇラビ。そんなにティファが大事?」

ラビの顔を覗き込むようにして、無邪気に言った。


「もう消えちゃったかもしれないのに」


空気が凍る。

ラビの視線が、ゆっくりロードへ向く。


「……黙れよ、ロード」

低い声。

重い殺気が空間を震わせた。


ブックマンの掟も。
中立も。

そんなもの、今はどうでもいい。


脳裏に蘇る。

『その優しさごと、私はラビを好きになったの』

あの夜の声。

熱。
手の温もり。


ティファは、約束を破る人間じゃない。

だったら。

見失うわけにはいかない。


ラビは一歩踏み出す。

崩れゆく方舟の最上階。

その深淵の中で。


ティファを、必ず取り戻すために。
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