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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第39章 【第三十四話】約束を守るために



「君は、そこまでして……戻る場所を選ぶのか」

ティファは答えなかった。


喉の痛みが、もう限界に近い。
声を出せば、何かが完全に裂けてしまう気がした。

それでも、両手のレイピアを掲げる。


空間の上部へ、膨大な白銀の光が集まっていく。

三本の槍とは比べものにならないほど巨大な、一本の光槍。

霧も。
時間の歪みも。

ヴェインが歪めたこの場の全てを、本来の流れへ押し戻すための光。


ヴェインは逃げようとしなかった。

ただ、ティファを見ていた。


「……ティファ」

声にされるより先に、名前を呼ばれた気がした。

ティファは、掠れた声を絞り出す。


「私は……」

喉が痛む。
血の味が濃くなる。

それでも、言わずにはいられなかった。


「何も知らないままでも……救いたい人を見捨てはしない」

ヴェインの瞳が、僅かに揺れる。


「私は……私の意思で、歌う」

ほんの一瞬。

ヴェインが、目を伏せた。

その表情に浮かんだものが何だったのか、ティファには分からない。


「……そうか」

低い声が落ちる。


「なら、いつか答えに辿り着くまで――」

ヴェインの唇が、僅かに笑みを作った。


「壊れずにいられるといいね」

ティファは、残った力のすべてを双剣へ込めた。


「――穿て!」
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