第39章 【第三十四話】約束を守るために
喉の奥で、ニルヴァーナが熱を帯びた。
白銀の光が、刃の輪郭へ薄く滲む。
「……やはり、応えるんだね」
ヴェインは、その光を見つめたまま静かに続ける。
「君の心に」
意味を問い返す暇はなかった。
ヴェインが踏み込む。
刃が迫る。
ティファは双剣を交差させ、真正面から受けた。
ガギィィン、と激しい音が響く。
腕に凄まじい衝撃が走る。
それでも、今度は倒れなかった。
「はぁぁっ!」
力任せに押し返し、そのまま連撃へ繋げる。
突き。
斬撃。
返す刃。
光を帯びた刃が霧を裂き、ヴェインを数歩後退させる。
「まだ、甘い」
ヴェインの輪郭が歪む。
次の瞬間には、背後。
反応した時には遅かった。
背中へ激しい衝撃が走る。
「っ……ぁ……!」
ティファは床へ叩き落とされた。
肺が潰れるような痛みに、呼吸が止まる。
二振りのレイピアが、今度こそ形を保てなくなった。
指先から白銀の光がほどけ、刃は音もなく霧の中へ散っていく。
乾いた音はしなかった。
ただ、光だけが消えた。
その静けさが、かえって限界を突きつけているようだった。