第39章 【第三十四話】約束を守るために
捉えきれない。
右肩へ一撃。
「っ!」
左脇腹へ衝撃。
息が抜ける。
背中へ刃の柄が叩き込まれ、ティファの身体が床へ転がった。
右手のレイピアが、指先から零れるように揺らいだ。
白銀の刃は床へ落ちる前に、細かな光の粒となって霧へ散っていく。
「まだ、届かない」
ヴェインの声が落ちる。
ティファは床へ手をつき、必死に身体を起こす。
視界が揺れる。
呼吸をするたび、胸の奥が痛い。
それでも、残った剣を握り締めた。
「……まだよ」
「何故、そこまで立つ」
ヴェインが問う。
ティファは、血の滲む口元を手の甲で拭った。
「決まってるでしょう」
足が震える。
けれど、前を見る。
「共に生きたい人がいるから」
「君を置いて進んだ者たちを?」
「違う」
ティファは、ゆっくり首を横へ振った。
「私が、行かせたの」
ヴェインの瞳が微かに揺れる。
「だから、私も行く」
震える手を伸ばす。
散ったはずの白銀の粒子が、もう一度その掌へ集まっていく。
細く鋭いレイピアが、震える指先の中で再び形を結んだ。
「置いていかれたまま、終わるつもりはないわ」