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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第39章 【第三十四話】約束を守るために



立たなければ。

そう思う。


けれど、指先が震えるだけで、身体が言うことを聞かない。

ヴェインの足音が、静かに近づいてくる。


「限界だ」

淡々とした声。


「君の身体は、もう歌に耐えられない」

ティファは荒い呼吸のまま、床を睨んだ。


違う。
まだ終われない。

こんなところで倒れていたら、約束を破ってしまう。


視界の奥へ、いくつもの顔が浮かぶ。

アレン。
リナリー。
チャオジー。
神田。
クロウリー。

そして。

最後まで手を離そうとしなかった、ラビ。


――絶対、戻ってこいよ。

胸の奥が、痛いほど締めつけられた。

その時、戦いの最中にヴェインが落とした言葉が、ふいに耳の奥で蘇った。


――君の願いは、いずれ歌の中へ混ざる。救いたいという想いも、失いたくないという想いも。

警告のつもりだったのだろう。

母が、ヴェインの母が、そうして奪われていったのだと。

けれど。

ティファは、床へついた指へ力を込めた。


「……それの、何が悪いの」

掠れた声が、霧へ落ちる。


混ざるなら、それでいい。

救いたいという願いも。
失いたくないという願いも。
戻りたいという願いも。


奪われるのではない。

私が、私の意思で、この歌に込めるのだ。
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