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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第39章 【第三十四話】約束を守るために



右。

刃を交差させる。

金属音。

左。

身体を捻り、二撃目を流す。

背後。

振り向きざまに突く。

火花が散り、ヴェインの頬へ細い傷が走った。


一筋の赤が、白い肌を伝う。

初めて見えた血に、ティファは息を呑む。

ヴェインは自分の頬へ触れ、指先に付いた血を静かに見た。


「……やるね」
「私は、ここで止まれない」

息を乱しながら、ティファは刃を構える。


「帰るって、約束したの」

その言葉を聞いた瞬間、ヴェインの表情が僅かに止まった。


ほんの一瞬。

何かを思い出すように。

けれど、その影はすぐに消える。


「約束、か」

ヴェインの声が、少しだけ低くなった。


「それは、君を繋ぎ止めるものになるかもしれない」
「それでいい」

ティファは即座に返した。


「繋ぎ止めてくれるものがあるから、私は戻れる」

空気が止まった。


霧が、静かに揺れる。

ヴェインは、しばらくティファを見つめていた。

やがて、僅かに目を伏せる。


「……君は、本当に」

小さく零れた声は、最後まで聞こえなかった。

次の瞬間、ヴェインの気配が消える。


「っ……!」

速い。
さっきまでとは違う。

時間のずれが、さらに深くなる。
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