• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第39章 【第三十四話】約束を守るために



姿が消える。

ティファは目を閉じた。

視界で追えば遅れる。
必要なのは、刃が届く直前に生まれる気配。

霧の揺れ。
石畳へ落ちる圧。
空気の薄い裂け目。

右。

ティファは踏み込んだ。


火花が散る。

一撃目を受け流し、身体を回転させながら二撃目を返す。

ヴェインの外套の裾が、浅く裂けた。


「……っ」

初めて、ヴェインが一歩退く。


ティファは追った。

右の突き。
左の斬り上げ。
体勢を低くし、足元へ横薙ぎの一閃。

霧の中で、双剣の銀光が幾筋も走る。

けれど、その全てが届くわけではない。


「甘い」

ヴェインの声が、すぐ近くで落ちた。

肩へ、鋭い痛み。


「っ……!」

一瞬、足が止まる。

その隙に、腹部へ蹴りが叩き込まれた。

身体が弾かれ、石壁へ激突する。


「っ、ぁ……!」

崩れた瓦礫が、足元へぱらぱらと落ちる。


息が苦しい。
肩から流れた血が、指先まで伝っていく。

ヴェインは、ゆっくりとこちらへ歩いてきた。


「そこまでして、急ぐ理由は彼らかい?」

ティファは、呼吸を整えながら剣を構え直す。


「……何が言いたいの」
「中でも、特に――」

その瞳が、僅かに細くなる。


「最後まで君を手放そうとしなかった、あの少年のもとへ」
/ 972ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp