第38章 【第三十三話】信じることの重み
二つだった輪郭が、ひとつへ変わっていく。
さっきまでの騒がしさとは違う。
そこにあるのは、はっきりとした殺意だった。
ぶわっ――!!
白い煙が、爆発するように広がった。
「気をつけてください!」
アレンが叫ぶ。
視界が一気に塞がれる。
本棚も、床も、台座も見えない。
その時。
台座の上から、ラビの声が響いた。
「アレン! ティファ! クロウリー!」
切迫した声だった。
「バカ、そこから離れろ!!」
「え――」
「頭の上だッッ!!」
誰も、反応し切れなかった。
次の瞬間。
煙の上から、黒い影が落ちてくる。
凄まじい衝撃が、クロウリーの身体を真上から叩き潰した。
「ぐあっ!!」
クロウリーが吹き飛ぶ。
本棚へ激突した。
ドゴォォン!!
棚が砕け、本が雪崩のように落ちる。
「クロウリー!!」
ティファの血の気が引いた。
崩れた本の山の向こう。
クロウリーが、血だらけで壁に磔られたように倒れている。
顔色は青白く、口元からも血が伝っていた。
煙がゆっくり割れていく。
その向こうに、一人の男が立っていた。