第38章 【第三十三話】信じることの重み
首を掴まれたまま、二人の腕だけが不自然に持ち上がる。
二つの銃口が、まっすぐティファへ向いた。
「動けなくするくらいなら、問題ねぇよなァ!」
「ティファ!」
アレンが声を上げた、その瞬間。
床が、ぐにゃりと歪んだ。
「っ……!」
ティファの足元から、黒い怨念が噴き上がる。
咄嗟に跳ぼうとした。
けれど、遅い。
どろりとした無数の腕が、ティファの足首へ絡みついた。
「……っ、何よこれ!」
白銀のレイピアが閃く。
腕の一本を斬り払う。
だが、斬られた怨念はすぐに繋がり直し、今度は彼女の手首へ絡みついた。
ぐい、と強く引かれる。
「きゃっ――!」
ティファの身体が床へ叩きつけられた。
衝撃に息が詰まる。
レイピアを握る腕が、黒い腕に押さえ込まれた。
喉元へ、冷たいものが這い上がる。
ニルヴァーナの光が、押し潰されるように喉の奥で震えた。
「ティファ!!」
アレンが神ノ道化を伸ばそうとする。
けれど、アレンにも、同じような怨念が絡みついた。
「何だ、これ……!」
腐った泥のような腕。
溶けかけた顔。
泣いているような、笑っているような塊。
それが、アレンの手首を掴む。