第41章 【第三十六話】記録者の帰る場所
鉄槌の柄が、アレンのいる床へ向かって伸びる。
「掴め……!」
アレンは片腕でティファを抱え直し、空いた手を懸命に伸ばした。
指先が、伸びた柄に触れる。
掴む。
一瞬だけ、ラビの身体が、宙で止まった。
「ラビ……!」
けれど、次の瞬間。
嫌な音がした。
ミシ、と。
これまでの戦闘で受けた傷が、鉄槌の柄へ、一気に広がる。
深い亀裂が走り、光が零れた。
持たない。
そう理解した時には、もう、遅かった。
鉄槌が、砕ける。
支えが、消えた。
「――ラビ!!」
アレンと、リナリーの叫びが、響く。
ラビの身体が、闇へ落ちていく。
最後に見えたのは、ティファを抱えたアレンの姿だった。
動かない、銀の髪。
それを支える、白い腕。
預けた。
任せた。
だから――頼む。
「……死なせんなよ……!」
届くかどうかも分からない声が、喉から零れた。
次の瞬間、闇が、すべてを呑み込む。
ラビと、チャオジーの姿は、崩れた空間の底へ、完全に消えた。