第38章 【第三十三話】信じることの重み
見えない二つの首を、左右それぞれの手で捕らえている。
「……捕まえた!」
その間にも、ラビは鍵を探していた。
「木判――風よ!」
書庫の中央に風が生まれる。
床に散らばっていた無数の鍵が、渦を巻いて浮き上がった。
ラビは高い台座の上へ降り立つ。
片手に鉄槌。
片方だけ覗く翠の瞳が、舞い上がる鍵を追う。
「傷」
違う。
「歪み」
違う。
「鍍金の剥げ方」
違う。
「……本物は、一回見た」
ラビの瞳が細くなる。
「記録に残ってる」
その姿を見て、ジャスデビの声が低くなった。
「……なに、あいつ」
「ブックマンの一族なの?」
「へぇ〜。どうりで……」
「今はそっちにいるんだな」
ティファは一瞬、眉をひそめた。
だが、その意味を考える暇はなかった。
「……あれ?」
デビットの声が、ふと変わった。
「お前、あのいけすかねぇ奴が言ってた女じゃね?」
ティファの動きが止まる。
「……ヴェインのこと?」
ジャスデロが、にたりと笑った。
「そうそう。殺すなって言われてたやつ」
デビットが銃口をくるりと回す。
「でもさぁ」
「殺さなきゃいいんだろ?」