第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り
「ティファは、武器を持ち歩かないんだよね?」
ジョニーが記録用の紙へ目を落としながら尋ねる。
「ええ。ニルヴァーナを発動させると、光が両手へ集まって、二振りのレイピアの形を取るの」
「じゃあ、鞘や武器固定用の金具は必要ない……」
ジョニーの鉛筆が、紙の上を走り始める。
「その分、腰周りは軽くできる。でも、二刀で戦うなら踏み込みも回転も多いよね。長い布が脚へ絡まないように、正面の開き方と後ろの重なりを調整して……肩も、腕を上げた時に突っ張らないようにしないと」
彼の声が、次第に熱を帯びていく。
「それから、一番大事なのは喉だ。ハイネックの形は綺麗だけど、ティファの場合は発声を妨げたら意味がない。息を大きく吸っても苦しくなくて、首を動かしても擦れない形にする」
私は、思わず彼の横顔を見つめた。
ただ、似合う服を考えているのではない。
私がどう息を吸うのか。
どう歌い、どう踏み込み、どう刃を振るうのか。
まだ出会って間もない私の戦い方を、ジョニーは真剣に形にしようとしている。
「銀の線、綺麗だと思うわ」
リナリーが設計図を覗き込み、嬉しそうに微笑んだ。
「黒い団服の中で、ティファの白いレイピアが顕現したら、きっとすごく映えるもの」
「うん。派手にはしないけど、動いた時に光が流れるように見えたらいいなと思って」
ジョニーが頷き、私へ顔を向ける。
「どうかな、ティファ。気になるところがあったら、遠慮なく言ってね。団服は、見た目以上に命に関わるものだから」