第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り
命に関わるもの。
その言葉が、静かに胸へ沈んだ。
これは、綺麗に着飾るための衣装ではない。
血と煤に汚れ、破れ、時には誰かの命を抱えたまま走るための服だ。
私は鏡の中の自分から視線を外し、作業机に広げられた設計図へ目を落とした。
「……ありがとう、ジョニー」
口から零れた声は、自分でも思ったより柔らかかった。
「私の戦い方を、こんなに考えてくれて嬉しいわ。動きやすくて、歌う邪魔にならないなら……あとは、あなたに任せる」
「任せて!」
ジョニーの顔が、ぱっと輝いた。
「絶対、ティファが戦いやすい団服にするから!」
その勢いに、リナリーがくすりと笑った。
「完成が楽しみね」
「ええ」
私はもう一度、設計図を見つめた。
黒の団服。
それを纏った時、本当に私は黒の教団のエクソシストになる。
師匠の弟子としてではなく。
アレンの傍にいた者としてでもなく。
自分の名で、戦場へ立つ者として。
胸の奥へ落ちた重みを押し込めるように、私は静かに息を吐いた。
やがて採寸を終え、上げていた腕を下ろす。
ジョニーがメジャーを畳んだところで、リナリーがぱっと私へ向き直った。
「それじゃあ、ティファ。少し休んでからでいいんだけれど……昨日話していた訓練、付き合ってくれる?」
「ええ。私も、あなたの戦い方を見てみたいわ」
答えると、リナリーの瞳が明るく輝いた。
「ありがとう!無理はしないように、軽く動きを合わせるだけにしましょう」
「軽くで済むのかなぁ」
不意に、衝立の向こうから聞き覚えのある声が割り込んだ。