第38章 【第三十三話】信じることの重み
『引ッ越シガ済ンダ場所カラ崩壊ガ始マリマシタ♡』
伯爵の陽気な声が響く。
『コノ舟ハ、マモナク次元ノ狭間ニ吸収サレテ消滅シマス♡』
「……どういう、ことだ……っ」
神田が低く唸る。
伯爵は、くつくつと笑った。
『オ前達ノ科学レベルデ、分カリ易ク言ウト♡』
その瞬間。
景色が変わる。
ティファ達の視界へ、巨大な都市の全景が映し出された。
崩壊していく白い街。
遥か中央にそびえる巨大な柱群。
まるで終焉寸前の世界だった。
『アト三時間♡』
ぞくり、と空気が冷える。
伯爵の笑みが、ゆっくり深まった。
『ソレガ、オ前達ガコノ世界ニ存在シテラレル時間デス♡』
沈黙。
誰も、すぐには言葉を返せなかった。
ティファは静かに息を呑む。
喉の奥で、ニルヴァーナが嫌な脈打ち方をしていた。
まるで、この空間そのものを拒絶しているみたいに。
『ミンナガ一緒ニ来テクレルカラ、淋シクアリマセンネ♡』
伯爵が愉快そうに笑う。
その視線が、リナリーへ向く。
『可愛イお嬢サン……良イ仲間ヲ持チマシタネェ♡』
リナリーが、悔しそうに唇を噛む。
「伯爵……っ」
紫紺の瞳が揺れる。
その横で、アレンが神ノ道化を強く握り締めた。