第37章 【第三十二話】闇に沈む江戸
『チョコ…ザイ…ナ♡』
「避けてぇぇぇッ!!」
ティファが叫ぶ。
同時に、ミランダを庇うように片膝をついたまま、レイピアを交差させた。
「銀幕――シルバー・ヴェール!!」
白銀の光膜が広がる。
ミランダ。
チャオジー。
マオサ。
キエ。
戦えない者達を包み込むように、淡い光が展開された。
だが、神田とラビは離れた屋根の上にいる。
しかもラビは、気絶したリナリーを抱えたままだ。
届かない。
ティファは奥歯を噛み締める。
直後。
黒が、降ってきた。
轟音。
世界が揺れる。
ティファの光膜が軋む。
「っ……ぁ……!!」
ティファは必死に光を維持した。
押し潰される。
防ぎ切れない。
けれど、ここを離せばミランダ達が呑まれる。
神田が六幻を突き立てる。
ラビも歯を食いしばった。
だが黒は止まらない。
その時。
ティファの視界の端で、眩い光が爆ぜた。
「……!」
リナリーだった。
彼女のイノセンスが、再び結晶化している。
巨大な結晶が、ラビの腕の中にいたはずのリナリーを包み込んでいた。
淡い光。
けれど、今までとは違う。
まるで“生きている”みたいに脈打っている。