第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海
『ミランダさん! あんたが時間を止めてくれなかったら、俺達とっくに終わってた!!』
『クロウリーさんも、倒れんなよ! ちゃんと血ィ飲めよ!』
『ブックマンさん! あんたがいるなら、きっと大丈夫だ!』
次々と飛ぶ声。
名前。
感謝。
それはもう、“黒の教団”へ向けられた言葉ではなかった。
この船で共に戦った、一人一人へ向けられた言葉だった。
ティファは息を呑む。
胸の奥が、痛いほど熱くなる。
『俺達の命を、未来へ繋げてください!!』
声が震えていた。
けれど、力強かった。
『生き残った仲間を、守ってください!!』
『平和な未来で、俺達の仲間が……少しでも長く、生きられるように……!』
そして、再び声が重なる。
『勝ってください、エクソシスト様!!』
リナリーが唇を噛む。
ミランダは両手で口元を押さえ、声もなく泣いていた。
ラビが、ぽつりと呟く。
「じじい……」
その声は、ひどく掠れていた。
「……キツいさ」
ブックマンは答えなかった。
ただ、雨に濡れた甲板の上で、静かに目を伏せていた。
雨の降る甲板で、アニタがこちらを見る。
「エクソシスト様方は、先に小舟へ」
「アニタさん達も一緒に――」
リナリーが言いかける。