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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海


そこにいたのは、アニタとマホジャ。

そして、チャオジー、キエ、マオサを含めた、僅かな船員だけだった。

クロウリーが周囲を見渡す。


「あの……船員達の姿が、見えないのであるが……」

ラビも眉を寄せた。


「あっ、ホントだ。どこに……」

リナリーの顔色が変わる。


「まさか……」

アニタは静かに目を伏せた。


「ごめんなさい」

雨に濡れた声だった。


「彼らには、見送りは不要だと伝えました」
「アニタさん……?」

「今は船内で、最後の宴を開いています」

その言葉に、誰もすぐには反応出来なかった。


アニタは穏やかに続ける。


「最期の時くらい、各々が望むように過ごさせてやりたかったのです」

船の奥から、微かに笑い声が聞こえる。

酒瓶のぶつかる音。
誰かが歌う声。
馬鹿みたいに明るい歓声。

それは、これから死ぬ者達の声とは思えないほど賑やかだった。


けれど、皆分かっているのだ。

自分達に残された時間が、もう長くないことを。


リナリーの唇が震えた。


「生き残ったのは……ここにいる人達だけなんですか……?」

ミランダが息を呑む。


「……っ」

アニタは、そっとミランダの肩へ手を置いた。
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