• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海



その横でクロウリーが、必死に柱へ掴まっていた。


「こ、これは速すぎるのである……!」
「ちょめ助!」

ラビが身を乗り出す。


「そんな飛ばして身体もつんか!?」
「ちょめ助!?」

返ってきたのは、妙に嬉しそうな声だった。


「オイラ、ちょめ助になっちょっちょ!? かわいいっちょ!」
「そこ喜ぶとこなんさ!?」

「でも時間がないっちょ!」

ちょめ助は船を押しながら叫ぶ。


「少しでも早く江戸に近付かないといけないっちょ!」

ラビの顔から、笑いが少し消えた。


「……お前、さっきから妙に慌ててんな」
「当然だっちょ! 日本はもう普通の場所じゃないっちょ!」

船室の中で、リナリーが顔を上げる。

まだ立ち上がれる状態ではない。
髪は短く焼け落ち、身体中に傷が残っている。

それでも、彼女の瞳はもう前を向いていた。


「でも、早く着けるなら助かるわ」

リナリーはミランダの方を見る。


「ミランダの消耗が激しすぎる」

ミランダは椅子に座ったまま荒く息をしていた。

顔色は紙のように白い。

額には汗が滲み、指先が小さく震えていた。

それでも彼女は、まだタイムレコードを止めていない。


止められないのだ。

止めた瞬間、今まで誤魔化されていた傷も、壊れていた船も、AKUMAの弾を受けた者達の時間も、すべて本来あるべき場所へ戻ってしまう。

ラビが、ミランダの傍へ歩み寄った。


「ミランダ」

低い声だった。
/ 972ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp