• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海



その時だった。

甲板に横たえられていた巨大な結晶が、眩い光を放った。


「……!」

ティファは息を呑む。

結晶の表面に、細い亀裂が走る。

ぱき、と音を立てて光がほどけていく。

まるで、リナリーを守る役目を終えたものが、自ら形を解いていくみたいだった。

次の瞬間。

結晶の中から、力の抜けたリナリーの身体が滑り落ちる。


「リナリー!!」

ラビが咄嗟に駆け出した。

倒れ込む前に、その身体を抱き止める。

どさり、と甲板へ膝をつく音がした。

焼け落ちた髪。
傷だらけの肌。
血の気の薄い唇。

それでも、胸はかすかに上下していた。

ティファはリナリーの前へ膝をつく。

震える指で、そっと呼吸を確かめた。


「……息がある」

その一言に、張り詰めていた空気がわずかに揺れる。

ラビの肩から、力が抜けた。

けれどその片目は、まだ大きく見開かれたままだった。


やがて、リナリーの瞼が微かに震えた。

ゆっくりと、紫紺の瞳が開く。


「……ラビ……?」

掠れた声。


「ティファ……?」
「ええ」

ティファはリナリーの手を握った。


「ここにいるわ」

ラビも、震える声で答える。

「……ああ。ちゃんと、ここにいる」
/ 972ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp