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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海



一瞬、妙な沈黙が落ちた。

ティファの頭に浮かんだのは、煙草をくわえ、酒を飲み、借金を残して消える師匠の姿だった。

その人が。

ちゃんと、任務をしていた。

思わず複雑な気持ちになる。

ラビも同じことを考えたのか、僅かに眉を動かした。


「つまり、オレらに助けに来いってことさ?」
「違うっちょ」

改造AKUMAは即座に首を振った。


「オイラは、お前らに警告するために来た」
「警告?」

「足手まといになるなら帰れ」

その言葉に、甲板が静まり返る。


「マリアンは、そう言ったっちょ」

ラビの目が細まる。

ティファは無意識に拳を握った。

改造AKUMAは、夜の海の向こうを見た。


「日本はもう、千年伯爵の支配下みたいなものだっちょ」

低い声だった。


「レベル3以上のAKUMAが巣を作ってる。生きて出られる可能性は低い」

重い沈黙が落ちる。


誰も笑わなかった。

誰も、すぐには言い返せなかった。

ティファは結晶の中のリナリーへ視線を落とす。


イノセンスに守られ、かろうじて命を繋いでいる少女。

海の向こうで一人戦っている師匠。

そして、江戸にあるという“箱”。


怖くないわけではない。

それでも、ここで退けるはずがなかった。
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