第36章 【第三十一話】命を繋ぐ海
「オイラは、マリアンから伝言を預かってきたんだっちょ」
ラビの表情が変わった。
ティファも、反射的に顔を上げる。
「師匠から……?」
「マリアンは死んでない」
その言葉に、船上の空気が揺れた。
「日本に上陸してる。今は江戸へ向かってるっちょ」
「主……」
マホジャがアニタへ視線を向ける。
アニタは、まだ頭を押さえながらも、震える息を吐いた。
「……聞こえました」
その瞳に、安堵の色が滲む。
「良かった……」
ティファも胸の奥で、小さく息を吐いた。
生きている。
師匠は、まだ生きている。
それだけで、張り詰めていた何かが少しだけ緩む。
けれど、改造AKUMAの声はまだ重かった。
「でも、安心してる場合じゃないっちょ」
ティファは結晶の傍に膝をついたまま、改造AKUMAを見る。
「師匠は、江戸で何をしようとしているの?」
「江戸には“箱”がある」
「箱……?」
「AKUMAの魔導式ボディを作るための生成工場だっちょ」
その言葉に、船員達がざわめいた。
クロウリーが息を呑む。
ラビの表情も強張った。
「クロス元帥は、それを壊すために江戸へ向かってる」
改造AKUMAは続ける。
「それが、マリアンの任務だっちょ」